ドイツに来てからというもの、「日本人である私」、「アジア人である私」を否応なく意識することが増えまして。
そうなると、ドイツ×日本の息子がどのようにアイデンティティを形成していくことになるのか、みたいなことも気になるわけです。
日本に住んでいた40年、何とも思わなかった
「何人?」
という質問が突然、その意味合いを変える。
今まで私、この手の質問を気軽にし過ぎてたんじゃないかな、と不安になったり。
パリでソニアに会った時、グルジアとドイツの両方にルーツを持つソニアの友達もその場にいまして。
その人が
「グルジアでもドイツでも、私は外国人。
でも、パリでは『私はフランス人』と言えばそれが受け入れられるの」
とフランス国籍を取ることにした理由を話してくれたのも大きかった。
今まで考えたこともなかった、
「何をもってして○○人と定義するのか」
という問題が突然、目の前に現れた感じ。
なので、息子にも「あなたは日本人」だとか「あなたはドイツ人」だとか、そういうことは一切言わないようにしていたのですが。
義母は息子に言うんですよねー。
「テオはドイツ人だもんね」
って。
そのたびにこっそり「自分が何者かっていうのは、自分で選んでいいんだよー」と息子に耳打ちする私。
義母世代が言うことは、私、もう諦めているところがありまして。
私の実母も実に様々な偏見に満ちているし、私だってきっとそう。
誰しもが持っているだろう偏見を是正していくのが教育の力だろうと思うんですが、ご高齢の方を今更教育していくのは私の役目でもなし。
が、これが旦那になってくるとちょっと色々言いたくなってくる。
私たちが住んでいる町は住宅探しが難しいドイツの中でも特に難しい、と言われているエリアで、寄ると触るとあちこちで
「どっか、借りられるアパート知らない?」
って話が出てくるし、信号機やスーパーの掲示板に家探しのビラが貼ってあったりするんです。
で、これが外国人の家探しとなるとさらに過酷で、語学学校の友達からもよく
「むったーの旦那さん、ドイツ人でしょ?どっかにツテないかしら?」
なんて聞かれる。
とりあえず、旦那に訊いてみたら返ってきた答えが
「どこの国の人?
バングラディシュかー。
難しいだろうね」
まず国籍を確認すんの?
たぶん、悪気なく一般論として言ったんでしょうね。
でも、
物凄く神経に触る
「あなた、日本人の私によくそういうこと言えるね。
私も外国人の有色人種だけど?」
と語気を強めても、さらっと
「君の肌の色はまだいいんだよ。
でも、肌の色が濃くなると難しいね」
旦那の脳天に雷でも落ちてくるんじゃないかと思いましたね。
天罰が下るぞ。
交際期間中、旦那とは政治の話や人種問題の話も色々してまして、リベラルな考え方をする人だと思ってたんです。
…なんなの、あなた。
どっかで中身すり替えてきた?
旦那はね、一般的な傾向として事実を伝えただけで、本人には偏見はないんですって。
ねー、自分が持ってる偏見に気づいてない人の方が質が悪いよねー!!
「口が裂けても、そんなこと息子の前で言うんじゃないよ」
と思わず声が低くなりまして。
「当たり前だよー!!
君だからこういうこと話せるだけで」
なんて笑ってましたけど、私の顔に大きく
失 望
って書いてあるのが、あのときの旦那には読めなかったんでしょうかね。
ちょっと奥さん、押してってー

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