生きねば in ドイツ

明日はどっちだ?  ドタバタでやってきたドイツ。 ドイツ語、コロナ、家庭不和の洗礼をうけて、ただいま知恵なし、金なし、家もなし。 それでも、この異国(ドイツ)で生きねばならぬアラフォーの生きざまを綴ります。 神様、私は明日も屋根の下で眠れるのでしょうか…。

2021年10月


ドイツに来てからというもの、「日本人である私」、「アジア人である私」を否応なく意識することが増えまして。

そうなると、ドイツ×日本の息子がどのようにアイデンティティを形成していくことになるのか、みたいなことも気になるわけです。

日本に住んでいた40年、何とも思わなかった
「何人?」
という質問が突然、その意味合いを変える。

今まで私、この手の質問を気軽にし過ぎてたんじゃないかな、と不安になったり。

パリでソニアに会った時、グルジアとドイツの両方にルーツを持つソニアの友達もその場にいまして。

その人が
「グルジアでもドイツでも、私は外国人。
 でも、パリでは『私はフランス人』と言えばそれが受け入れられるの」
とフランス国籍を取ることにした理由を話してくれたのも大きかった。

今まで考えたこともなかった、
「何をもってして○○人と定義するのか」
という問題が突然、目の前に現れた感じ。

なので、息子にも「あなたは日本人」だとか「あなたはドイツ人」だとか、そういうことは一切言わないようにしていたのですが。

義母は息子に言うんですよねー。
「テオはドイツ人だもんね」
って。

そのたびにこっそり「自分が何者かっていうのは、自分で選んでいいんだよー」と息子に耳打ちする私。


義母世代が言うことは、私、もう諦めているところがありまして。
私の実母も実に様々な偏見に満ちているし、私だってきっとそう。

誰しもが持っているだろう偏見を是正していくのが教育の力だろうと思うんですが、ご高齢の方を今更教育していくのは私の役目でもなし。


が、これが旦那になってくるとちょっと色々言いたくなってくる。

私たちが住んでいる町は住宅探しが難しいドイツの中でも特に難しい、と言われているエリアで、寄ると触るとあちこちで
「どっか、借りられるアパート知らない?」
って話が出てくるし、信号機やスーパーの掲示板に家探しのビラが貼ってあったりするんです。

で、これが外国人の家探しとなるとさらに過酷で、語学学校の友達からもよく
「むったーの旦那さん、ドイツ人でしょ?どっかにツテないかしら?」
なんて聞かれる。

とりあえず、旦那に訊いてみたら返ってきた答えが
「どこの国の人?
 バングラディシュかー。
 難しいだろうね」

まず国籍を確認すんの?

たぶん、悪気なく一般論として言ったんでしょうね。
でも、

物凄く神経に触る

「あなた、日本人の私によくそういうこと言えるね。
 私も外国人の有色人種だけど?」

と語気を強めても、さらっと

「君の肌の色はまだいいんだよ。
 でも、肌の色が濃くなると難しいね」


旦那の脳天に雷でも落ちてくるんじゃないかと思いましたね。

天罰が下るぞ。

交際期間中、旦那とは政治の話や人種問題の話も色々してまして、リベラルな考え方をする人だと思ってたんです。

…なんなの、あなた。
どっかで中身すり替えてきた?

旦那はね、一般的な傾向として事実を伝えただけで、本人には偏見はないんですって。

ねー、自分が持ってる偏見に気づいてない人の方が質が悪いよねー!!


「口が裂けても、そんなこと息子の前で言うんじゃないよ」
と思わず声が低くなりまして。

「当たり前だよー!!
 君だからこういうこと話せるだけで」
なんて笑ってましたけど、私の顔に大きく

 失 望

って書いてあるのが、あのときの旦那には読めなかったんでしょうかね。



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歯医者から証拠品(抜かれた歯)を持って帰宅した私を見て、驚いたのが旦那。
抜歯って、結構インパクト大きいんだな…

「え?どうしたの?何があったの?十分に説明してもらった?」
と焦る旦那。

そもそも、今回、私の歯茎に異常が起こったのは、不機嫌な旦那がぼーっとしている私を「邪魔だ」と押しのけた際に、彼が手に持っていた「ボビーカー」という子供の乗る車のおもちゃが私のアゴを直撃したのが発端。

「痛っ!」
とアゴを押さえてうずくまる私を
「そんなに痛かったはずがない!大げさだ!」
と鼻で笑った旦那ですが、その翌日、私の歯茎が腫れてくると
「え…、ごめん。歯医者の予約とるね」
と態度が一変。

自分では感じることができない他人の痛みを

大げさ

と小馬鹿にしたこと、私は忘れませんからね!!


その結果、妻が抜歯されて帰ってきたもんだから、彼の焦りはマックスに。

「お医者さん、説明してくれてたと思うよ。さっぱりわからんかったけど」
となぜか、証拠品(抜かれた歯)を旦那に手渡してさらなるプレッシャーをかける私。

「待って、抜歯だよ?歯、抜かれたんだよ。説明が不十分だったなら、訴訟も考えるようなことなんだよ」
と、騒ぎ出し、すぐさま歯医者さんに電話。

翌日、再度、歯医者さんを訪れることになりました。

診察室のドアから医師が入ってきた途端、
「妻はドイツ語がわからないので、僕に説明してください!
 どうして抜歯したんですか!!」
と詰め寄る旦那。

一瞬、固まる先生。
ゆっくり、視線を私へ移し、

「噓でしょ…。わかってなかったの?」


心の痛みに堪えかねて、これまたゆっくり、視線を外す私。
視線を外した先に、衛生士さんがいて

(うん、私、知ってた。あなた、ドイツ語わかってなかったよね)。
とばかりにうん、うん、とうなずいてました。


ずーっと、ドイツ語が分からない代償として歯を失った、と思っていた私ですが、これ、よく考えたらドイツ語どうこうより、

ろくでもない男と結婚した代償

ですね。

旦那と結婚して、得たもの、失ったもの、色々ありますが、失ったものの最初の一つが「歯」だったのかも。



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ドイツにやって来てから約半年。
語学学校で2講座受講したものの、ドイツ語はまだまだ話せない。

そんな時期でしたが、この頃から予約だけ旦那にお願いして、病院は一人で行き始めました。

今日は、初めて一人で歯医者へ行った日のお話。


歯茎が腫れあがっているのに気づいて、歯医者さんへ行き、勘で受付を乗り切り、診察台へ。
「歯、ここ、イタイヨ」
とどうにか伝え、歯科医が何やらいろいろ説明してくれるのを、まったくわからないまま、
ニュアンスを変えて何パターンかの「Ja(ドイツ語の「はい」)」だけで受け流した結果、
歯、抜かれました。

「今日やっちゃう?それとも予約取り直す?」
って言われてるのはわかったんですけどね、「今日やれることは、今日やってしまいなさい」
と育てられたもんで、
「今日やります!」
って何やられるのかわからないままお返事しまして。

心配そうに私を見つめる歯科衛生士さんの視線で、ちょっと異変に気付きましたよね。
「大丈夫よ」
と彼女に手を握られるのと、麻酔をかけられたのが同時で、
(これはもう、やらかしたな)
と。

振り向いた歯科医の手にペンチが握られているのを見て、やっと理解しました。
(そうか、歯、抜かれるんだな…)って。

自分の歯がどういう状態になっていたのか、まったくわからなかったもんで、「証拠品押収」
とばかりに、抜いた歯をいただいて帰りました。

その歯、「ドイツ語がわからないまま、いい加減に暮らしているとどうなるか」という戒めとして、
今も家にあります。

どこ行ったかわからんけど。



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ほんの3,4日うちに滞在しただけのソニアでさえ、何らかの不穏な空気を嗅ぎ取っていたというのに、当の本人の私はまだまだのほほんとしていたこの頃。

 「あら、この人、こんな人だったっけ?」
と、異変に気付いたのは運転中のことでした。

私が旦那に出会ったのは彼が18歳の時。
そのころ、旦那はすでに車を運転していたので、もちろん何度も乗せてもらったことがある。

車でオーストリアやスイス、国を超えての旅行をしたこともある。

で、一度も運転中に声を荒げる旦那を見たことがなかったんです。
10年以上、一度も。

その日は義母も一緒にお昼ご飯に遠出してまして、助手席に義母、後部座席に私と息子。
息子に気を取られていた私は何が起こったのかわかっていなかったのですが、どうも、隣車線の人がスマホを片手に無理な追い越しか何かをやらかしたようで。

旦那が車の速度を急に上げて、義母の側の窓を開け、何やら怒鳴りだしてから、初めて何かが起こっているのに気づきました。

あら、うちの旦那、中指立ててるわ…。
質の悪い輩みたい…。

あら、義母さんまで加勢するの?

小さい子が後ろに乗ってますからねー!!
逆恨みでもされて子供に手だしされたら、とか怖くないんですかー。
私は怖いですよー!!!


もうね、めちゃくちゃびっくりしました。
この人、アンガーマネージメントのセミナーとか受けたほうがいいんじゃないかと本気で心配しました。

すぐに落ち着いて、
「あれは、やりすぎた」
と本人も反省してたんですが。

でしょうね!!

てか、本人ですらやりすぎにすぐ気づきような逆上に加勢する義母さんもどうなの。
なだめてやってー!!

息子を焚きつけてトラブルにでもなったら、あなたも後悔するわよーーーー!!


旦那に人として信用できないところがいくらかあっても、
「息子の安全に神経を遣う」
という一点では私、全幅の信頼を置いていたんです。

コンセントには全て、プロテクトカバーをはめこみ、誤飲するサイズのものは徹底的に子供の手の届く範囲から排除し、長さのある紐、ポリ袋にまで気を配り、子供が使用するボディーソープやクリーム類も安全性を調べ上げるような人でしたもので。

それが、揺らぎ始めた。
この人、怒りに我を忘れるタイプだったのか…。


怖っ!!

これが、旦那に初めて「恐怖心」を感じたできごとでした。




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そういえば、夏休み期間の間に、日本からお友達が訪ねて来てくださいまして。
「パリに行ってみたい」
ということだったので、バカンスでパリを離れているパリの友達のアパルトマンを借りて、
付き添いでお友達と一緒にパリへ行ったんです。

息子と夫をドイツに置いて。 

2泊3日。

意外に思われるかもしれませんが、うちの旦那、やる気になれば子育ても家事も一通りできます。
短期間であれば。

パリからドイツに帰る電車の中で、(大丈夫かなー)と心配になりましたが、
家へ帰りついてみれば息子も旦那も上機嫌。

お土産のフォアグラを喜んで料理してくれる旦那。
「フォアグラ買ってきてくれるっていうから、ワイン専門店でフォアグラに合うワインを選んできたんだ」
と美味しい夕食を用意してくれました。

パリで遊んで帰ってきた妻に夕食を作ってくれるなんて、いい人!

散々こき下ろしてますが、うちの旦那、いいところもあるんです。



アパルトマンを貸してくれた子以外にもパリには何人か友人がいまして、
その中でも仲良くしているのがソニア。

6年ぶりにパリで再会し、
「こんなに長くあんたに会わなかったなんて信じられない!
 次はすぐ会わなきゃ」
ということで、その後すぐにソニアがドイツの片田舎まで私たちを訪ねてくれました。


このソニアと私にはいくつか共通点があるのですが、
とにかく二人とも

男運が悪い。
ソニアは私に輪をかけて男運が悪い。

6年前、最後に会った時、ソニアは婚約したばかりだったのですが、
婚約指輪を私に見せてくれようとしたら、台座からダイヤモンドが外れまして。

…何これ、嫌な感じするわ…。

なんて思ってたら、その婚約相手、祖国に家庭を持ってましてね。
しかも、ソニア以外にも指輪を贈った相手がいることまで発覚し…。

その相手がドイツ人だったそうで。

そんな因縁のドイツにソニアがやってきた。

コンサルティングファームでバリバリ働いているソニアは押しが強く、おしゃべり上手。
旦那もすっかりソニアが気に入り、
「次はソニアを訪ねてパリに行こう」
なんて言ってました。

上機嫌の旦那は
「ソニアと二人でガールズナイトを楽しんでおいでよ」
なんて快く夜も私たちを送り出してくれました。

うちの旦那、いいところもあるんです。
(2回言った)。

新しいパートナー探しに余念のないソニアですが、一方で「ろくな男が見つかりそうにないから、自分の子を持つのは諦めて養子を受け入れるの」と養子を受け入れるための準備も進めているそうで。

二人で飲みながらそんな話で盛り上がり、ソニアがパートナー探し中に出会ったろくでもない男性の話で大笑いし。

でね、そんなろくでもない男のオーソリティーでもあるソニアが去り際、

「あんた、大変なことになったらすぐ連絡してくるのよ。
 うち、部屋余ってるんだから」

と耳打ちしてきまして。

…何これ、嫌な感じするわ…。Part2

ソニア、あの時、何に気づいてたの…?



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